レトロ旅えひめ巡り
愛媛県のノスタルジーを求めての旅ガイド。近代化遺産の建造物や農漁村の原風景、いつかどこかで見た光景を紹介していきます。古いえひめを一緒に探してみませんか。
プロフィール

まくり王

Author:まくり王
FC2ブログへようこそ!



最新記事



最新コメント



最新トラックバック



月別アーカイブ



カテゴリ



訪問No.



検索フォーム



RSSリンクの表示



リンク

このブログをリンクに追加する



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



QRコード

QR



スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

愛媛で最も古いRC開腹アーチ橋「有枝橋」(旧美川村)
久万高原町の旧美川村有枝。国道33号のすぐそばにある旧道に、貴重な橋が隠れている。
大正11年完成で、RC(鉄筋コンクリート)開腹アーチ橋として、愛媛県下で最も古い「有枝橋」だ。
いや、デザイン上のR形状の開腹アーチ道路橋としては、“日本で最初の橋”、といわれるすごい物件なのだ。
それが今も現役として使われている。
土木学会の近代土木遺産Bランクに指定されている。つまり「県」指定文化財クラスとされている。

  DSCF3997.jpg
これを設計したのは、愛媛県技師の坂本一平氏(のちに福岡県土木部長)だ。
愛媛県は、大正時代に愛知県奥三河地方とともにRCアーチ橋の2大地域と言われるほど、独自の様式美を持つアーチ橋の花を咲かせた地域として知られる。その最大の功労者は坂本技師であることは間違いない。この有枝橋と、御三戸橋、杣川橋(いずれも久万高原町)の三橋が現存する彼の設計だが、その後にできる数々のアーチ橋に彼の影響力は大きい。

  DSCF3996.jpg
今の有枝橋は残念なことに、当時の親柱はなく、不自然に大きな柱がたっていて、橋の名前も竣功年月もどこにも見当たらない。
ちょうど通りかかった小学生にこの橋の名前を聞いてみた。間髪をいれず、「有枝橋です」と返ってきた。
どこにも書いてないのに、地元の人は、有枝橋と知っているのだ。長さは、31・1メートルある。

国道33号は昭和30年代から改良に着手、橋も次々と付け替えが行われるのだが、その橋の付け替え工事第一号に選ばれたのがこの有枝橋だった。約100メートル離れたところに昭和35年2月、新しく河口橋が架けられ、そこが33号線になり、有枝橋は旧道になったのだ。

  DSCF3995.jpg
コンクリート橋建設の歴史上に名を残す「有枝橋」について、研究者の論稿(注1)から、この橋の価値をたどってみよう。

開腹アーチ橋では、鉛直材と桁との接点を直角に処理するか、曲線(R)に処理するかで、デザインが決まる。
R処理すれば、優美で古典主義的趣があり、逆に直角で処理すれば現代的ですっきりした外観を醸し出す。
構造上の強度に影響はなく、R処理は景観に対する設計者の想いによって採否が決まる。
坂本技師は大正11年、日本で初めて開腹アーチのR形状の道路橋を有枝橋として架設した。
さらに翌年、旧面河村に同様の開腹アーチ橋「瀧渡瀬橋」(現存せず)を造っている。

この論稿によると、愛媛県では、鉛直材頂部R状のスパンドレルがアーケード状のスタイルを本格的に採用した。初期の設計は坂本技師で、アーケード+リブ構造という愛媛型とも言えるスタイルを造りだした。この流れの頂点に位置するのが今は鹿野川ダムに水没している船渡川橋(昭和5年竣功)で、「国内で最も優美なアーチ橋ではないだろうか」と、論稿で称賛されている。(船渡川橋=西予市の旧野村町=は、冬場などの渇水期に見ることが出来る)。
私見では、西条市の大宮橋(昭和2年)も古典的な美しさを持ち、船渡川橋と遜色ない名橋と思う。

全国的にみると、昭和になってからR形状の橋が多くなったが、建設のピークは昭和2年からのほぼ10年間に集中、戦後はほとんど採用されなくなった。
景観より、経費カットを重視する、時代の風潮でもあるし、シンプルなデザインの方が好まれてきたとも言えよう。

(下写真は、大宮橋。鉛直材にギリシャ建築のような彫りを入れ手の込んだ施工技術を見せている)
   DSCF1052.jpg
坂本一平と言う技師がいなければ、愛媛の山間部に美しいアーチの花が咲いたかどうか。それに、優美な船渡川橋や大宮橋は、設計者が誰なのか、わかっていない。90年以上たっても今に美しさを残し、設計計算の確かさをも実証している。人は死亡しても、その人の残した作品はそれこそ人類の遺産として今に残る。当時の技術者や施工者をたたえたい。

所在地:国道33号旧美川村有枝の河口橋近くから、県道209号美川松山線へ約100メートル。

参考文献:(注1)紅林章央、前田研一、伊東孝「わが国における第二次世界大戦以前のコンクリートアーチ道路橋の変遷」土木史研究論文集Vol.24 2005年

にほんブログ村 地域生活(街) 四国ブログ 愛媛県情報へ
にほんブログ村

愛媛県 ブログランキングへ

スポンサーサイト


コメント

コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


トラックバック
トラックバック URL
→http://makuriou.blog.fc2.com/tb.php/133-5f324ab3
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。