レトロ旅えひめ巡り
愛媛県のノスタルジーを求めての旅ガイド。近代化遺産の建造物や農漁村の原風景、いつかどこかで見た光景を紹介していきます。古いえひめを一緒に探してみませんか。
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“伊予の左甚五郎”川中夏吉の目を見張るすごーい技/谷上山宝珠寺
江戸後期から大正初期にかけて、愛媛の社寺建築は長州大工が活躍するなかで、何人かの県人の宮大工が、独自の手腕を発揮している。
前回紹介した友澤弥三郎もそのうちの一人だが、さらにもう一人、本堂建築の異才がいる。
“伊予の左甚五郎”といわれた伊予市出身の川中夏吉(嘉永6年-大正13年)だ。
代表作は伊予市上吾川の谷上山宝珠寺(たがみさんほうしゅうじ)の本堂。
全国的に本堂建築には珍しい「四手先(よてさき)」のすごい組物(くみもの)を巧みに配置した。その美をじっくりご覧ください。

  DSCF1751.jpg
組物とは、広辞苑によると、「建築物の柱上にあって軒を支える部分。斗(ます)と肘木(ひじき)とからなる。ますぐみ。斗栱(ときょう)」と記載されている。
寺社建築でよく見かけるモノで、屋根の荷重を分散して支え、柱に伝える役割を持つ。

よく見たらわかるが、壁面にある大斗上から肘木を突き出して斗をのせ、その上に平三斗(ひらみつど)をのせた構造。
壁面から斗が一個分前方に出ることを「一手先る」といい、一手出たところが「一手先」(出組ともいう)という。
これをさらに一手外に出して組むと、「二手先」、そこからまた一つ外に出すと「三手先」というように、呼ぶ。
三手先までが一般的で、「四手先」は、多宝塔などで例外的に使用されるという。
。(「四手先」以上になると、代表的な遺例は東大寺南大門、同大仏殿の「六手先」がある。これは大仏様式のモノに限られる。文献の中には「七手先」という記述があったので、七手のモノがあるのかもしれない。)

この四手先の技法を、川中夏吉が宝珠寺の本堂建築に使っている。また同時に独特の形状の尾垂木(おだるき)を4本突き出した意匠で、見る者を驚かせる。
(ある古建築専門のブログでは「本堂で四手先組物を持つのは、奈良市の喜光寺だけではないか」との記述がある。それだけ、希少な組物が四手先だ。)

  DSCF1744.jpg
見てください、木造建築のこの緻密な構成の曲線が醸し出す美しさ。それに、手挟(たばさみ)という屋根下の部材には、拳鼻の上に獅子が乗り、その上を籠彫りの花々が飾るすごいデザイン。正面から見えないところにも手を抜かない職人の技が活きている。

  DSCF1740.jpg
正面から見ても、組物のオンパレードに圧倒される。

  DSCF1733.jpg
向拝の多彩な彫刻群。鳳凰や天女の舞、木鼻には向かい合う龍、それに籠彫りで波濤と鳥を描く。

  DSCF1730.jpg
今の本堂は間口3間、奥行き5間、入母屋造り、向拝に軒唐破風。禅宗様式を基本としている。

宝珠寺は、真言宗智山派、京都智積院の末寺。天武天皇の時代、白鳳2年(673)の創建で、その後今日までに5回造営されている。
今の建築は棟梁・川中夏吉の手によって、明治25年(1892)に着手し、竣工したのは明治38年(1905)。13年がかりで改修された。
見事な本堂なのだが、昨春まで10年余りもシートがかけられ、改修工事が続けられていたから、意外とこの本堂をじっくり鑑賞した人は少ないかもしれない。もし、この“空白の10年間”がなければ、もっともっとこの建築が注目され、四手先の異色の本堂として脚光を浴びていたのではないかと思う。
谷上山ドライブを兼ねて、珍しい建築の美をぜひ鑑賞して欲しいと思う。

川中夏吉は、南伊予村下三谷(現・伊予市)の生まれ。宮大工の兄のもとで、建築や彫刻を学び、さらに京都や奈良に修行に出て寺社建築や彫刻の技を磨いて、帰郷。地元で寺社建築に取り組むとともに、多くの弟子を育てた。
代表作が、この宝珠寺本堂や伝宗寺薬師堂(同市下三谷)で、ともに伊予市有形文化財に指定されている。

  DSCF1644.jpg
大正13年(1924)11月12日、71歳で死去。
没後十七回忌の昭和15年(1940)に弟子たちの手によって、円型の「工匠夏吉翁碑」が、華厳寺(伊予市下三谷)の墓地内に建立されている。碑文には「翁は若くして兄を師とし、工を習い、業を成し、弟子を育てた。生れつき堂宇建築を好み、また彫刻製図は巧みであった。宝珠寺本堂や県社伊予神社などはその作である」などと記されている。

宝珠寺所在地:伊予市上吾川1419。近くの谷上山は展望台があり、伊予灘までも眺望できる。

参考文献:「寺社建築の鑑賞基礎知識」(濱島正士、至文堂)、伊予市誌(伊予市)
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