レトロ旅えひめ巡り
愛媛県のノスタルジーを求めての旅ガイド。近代化遺産の建造物や農漁村の原風景、いつかどこかで見た光景を紹介していきます。古いえひめを一緒に探してみませんか。
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菊間駅前に、レトロ感あふれる大きな民家がある。
今治市菊間町のJR菊間駅前通りに、レトロ感あふれたすごい民家がある。
とにかくでかい、入母屋造りの2階建て。2階の壁面に、松の形の変わった窓が個性的。
ざっと90年余前の大正末期の建築と見られる。
老朽化が目立ち、早晩解体される運命。見るなら今のうちだ。

  DSCF3129.jpg
建築時、この建物は、何だったのだろう?。
2階の窓デザインから、旅館か料亭だったのではないか、と思ったら所有者に言下に否定された。
「ウチは曾祖父の代から、運送業。1階が荷物処理の場で、2階は家族の住居だった」
2階の壁面には、「日本通運」のトレードマークの「通」が誇らしく大きく描かれている。

  DSCF3143.jpg
  DSCF3135-001.jpg
正面玄関上には、「日本通運取扱店 東予運輸有限会社」「菊間駅荷物配達取扱所」など、運送業の看板が4枚も掛かっている。ここに書かれている東予運輸の実質的な本社が、この建物で、経営者が濱田さん。
社長がお父さんで、4人のきょうだいが力を合わせて営んできた。特にミカンの輸送時には大繁盛し、その時期以外はペリカン便を主体に順調に売り上げを伸ばしてきた。しかし、国鉄民営化や競争の激化で今から15年ほど前に、運送業は廃業したという。
お父さんは昨年亡くなり、その息子さんはこの建物について詳しい話を聞いていないが、「菊間駅の開業(大正14年=1925)より前にこの建物はあったと伝えられている」という。

  DSCF3148.jpg
駅前の表通りの角地に圧倒的な存在感を見せつける濱田邸。

町の繁栄を最も身近に見続けてきた建物、今廃業となって佇む姿は、“夢の跡”のような寂しさが漂う。雨漏りなど各所で傷みも目立ち、「修理より解体の方が安上がり」の見積もりも既に出たという。ローカル運送業の歴史を秘めた建物が、ここ数年で静かに姿を消そうとしている。

菊間は国鉄菊間駅開業後、鉄道用燃料石炭の貯炭場もでき、これにより海運業者が大型船に転向、飛躍的に業績を伸ばすなど、鉄道開通によって町の繁栄に拍車がかかった。古老は「駅前には大きな料亭や旅館が何軒もあって、芸者もいてにぎやかだった」と懐かしむ。しかし、繁栄は長く続かなかった。菊間の人口は昭和30年(1955)の12,587人をピークに、減少の一途。平成20年(2008)には、7,120人と、半数近くに減ってしまっている。町並みに商店が多く、繁栄時を彷彿させる感じだが、残酷なことに今では廃業の店舗があちこちに見える。菊間町は、平成17年(2005)に今治市と合併した。

参考文献:菊間町誌、菊間町誌続編

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