レトロ旅えひめ巡り
愛媛県のノスタルジーを求めての旅ガイド。近代化遺産の建造物や農漁村の原風景、いつかどこかで見た光景を紹介していきます。古いえひめを一緒に探してみませんか。
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これは、貴重な「金蔵」だ!
これは、新谷(にいや)藩の金蔵(かなぐら)。
見るからに堅固、防火や防犯に十分な備えをしている。
藩の金蔵が現存しているのは、愛媛ではここだけの貴重な遺構だ。


        IMG_3177-001.jpg
                       (土蔵造り、白漆喰塗の新谷藩金蔵)

 今、愛媛県は11市9町で構成されているが、江戸時代の幕藩体制では藩が何藩あったか知っているだろうか。
答えは8藩。東から西条、小松、今治、松山、新谷、大洲、吉田、宇和島で、これで「伊予八藩」という。
このうち、最も小さな藩が1万石の新谷藩と小松藩だ。特に、新谷は、平成の大合併前の自治体にもその名はなく、愛媛県民でも新谷の場所が分かる人は少ないかもしれない。

 今の大洲市新谷がその本拠地。元和9年(1623)に、大洲城主・加藤貞泰が二男の直泰に喜多郡上新谷村1万石を与え、支藩として立藩させ、その後明治維新まで9代230年にわたって加藤氏がこの地を治めた。

 幕府は3万石以下の大名に築城を許さないため、そのような大名は城ではなく、陣屋を築いた。ここ新谷の地には寛永9年(1642)に陣屋ができた。その跡地は、現在、新谷小学校になっていて、そこに藩の評議所・謁見所として使われた麟鳳閣(りんぽうかく、慶応4年建築)=県重要文化財=も残っている。

 さて、問題の金蔵だが、これは新谷藩の政務所に付随して建てられた金庫といわれる。
正確な建築年代は、確認できていないが、幕末の家中屋敷図に記載があることから江戸末期のものであることは間違いない。廃藩置県後は、新谷村役場が使用し、重要書類の保管庫となっていた。

 間口、奥行ともに4.34メートルの正方形の建物。本がわら葺き切り妻、平屋建ての土蔵造り。白漆喰塗。
窓が南側(写真の家紋のある面)に1か所だけある。ここには厚さ3.5センチの鉄棒を7本入れ、鉄格子として賊の侵入を防ぐ。さらに裏白(漆喰が塗ってある)戸、網張り格子戸もあって、防災、防犯面を補強している。
       IMG_3280.jpg
(こちらが北側で、正面入り口。幅21センチ、高さ16センチの花崗岩の上り石段がついている)

 入り口は、道路と反対側の北側にある。なんと、入り口の戸は4重にもなっている。
 第一の扉は、厚さ14センチの漆喰塗仕上げ。第二は裏白戸、土蔵の土戸にあたるもので火災防止が狙い。第三は鉄板張りの戸、これはのこぎりを使う賊の侵入を防ぐ。第四は、腰板網張り格子戸。4つの扉にはそれぞれ錠をつけている。第一から第四までは59センチもの厚さがある。いやはや、すさまじい守りである。大阪城の金蔵は2重の土戸と鉄格子戸の「3重構造」だから、新谷藩はそれを上回る完璧な防備をしていたといえる。

 内部は松の厚板で張りかため、唯一、南側に風通し窓を設置している。また、外部の基礎も矢落川の洪水氾濫を免れるため約1メートル石垣を高く組んで地形を上げている。外壁南側に藩主加藤氏の替え紋「上り藤」をおき、屋根の鬼瓦や丸瓦の軒には、加藤氏の蛇の目の紋をつけ、威光を見せつけている。

 わずか1万石の小藩の金蔵だが、本格的な土蔵造りで地方の様式を備える貴重な建造物として、大洲市が文化財に指定している。

 現存する金蔵で最も有名なのは大阪城の金蔵(国の重要文化財)。ここは御用金の保管庫で、現在の価値にして500億ー800億円の金・銀貨を保管していたという大きな施設。

 だが、ほかに藩の金蔵として残っているものは、ネットで調べる限りでは、松本城(長野県松本市)のものしかない。つまり、現存する藩の金蔵は、ひょっとしたら3つしかなく、そのうちの1つが新谷藩の金蔵ということになり、とても貴重な存在といえる。(もし、ほかに金蔵の所在をご存知の方がいれば、ご教示を)

 大阪にはスケール的にも大きく水をあけられるが、新谷の金蔵は、松本と比較すれば、規模や美しさ等で勝るとも劣らないと思う。全国的にほとんど知られていないが、素晴らしい遺構が愛媛にあるのである。もっと県民に知ってほしいもののひとつだ。
(写真撮影:平成25年5月23日、6月2日)

交通ガイド:所在地・大洲市新谷町甲274-3
国道56号線から、新谷大橋を渡り約100メートル、河内歯科を下新谷方向へ左折して30メートル。


参考文献:大洲市誌、大洲市文化財調書集
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