レトロ旅えひめ巡り
愛媛県のノスタルジーを求めての旅ガイド。近代化遺産の建造物や農漁村の原風景、いつかどこかで見た光景を紹介していきます。古いえひめを一緒に探してみませんか。
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「日土小」見学会へ行こう。
八幡浜市立日土(ひづち)小学校の校舎は、日本の代表的なモダニズム建築として知られる。
国の重要文化財にも指定され、大洲市出身の建築家・松村正恒(まつむら・まさつね)の代表作でもある。
この夏休みにも、3回の学校見学会が開かれる。
先日の8月4日に1回目が開かれ、あと11日(日)と18日(日)にも開催予定だ。
とにかく明るく、開放的で、子供たちの居心地のいい空間を追及した松村の気持ちがわかってくる。
都合がつけば、ぜひ素晴らしい小学校を見て、ご自身の小学校時代に思いをはせるのはどうだろうか。
DSCF0182.jpg
       (日土小学校でもっと有名な裏側の光景。喜木川に張り出したテラス、緩やかな外階段が特徴だ)DSCF0197.jpg
     (正面からの日土小。向かって左側が東校舎で、その隣が中校舎。薄緑色の明るい色彩)
 この貴重な校舎が完成したのは、昭和31年(1956)に中校舎、昭和33年(1958)に東校舎で、ざっと半世紀前のこと。それが大きく脚光を浴びたのは、平成11年(1999)に、近代建築の保存と記録を目指す国際組織のドコモモの日本支部によって日本のモダニズム建築20選の一つに選定されたのがきっかけ。しかし、老朽化に伴い、解体の流れになっていたが、日本建築学会など各方面から保存再生の声が高まり、八幡浜市も保存を決断。平成21年(2009)6月に保存再生工事が完成し、今も小学校として使われ続けている。

 昨年(平成24年)には、4月に日本建築学会賞、10月にワールドモニュメント財団モダニズム賞を受賞、12月には国の重要文化財に指定された。戦後の木造建築が指定されたのは初めて。また、戦後の建造物で重要文化財に指定されているのは、村野藤吾の世界平和記念聖堂(広島)、丹下健三の広島平和記念資料館があり、ともに日本を代表する建築家の作品。このなかに、松村の作品が選ばれていることは、日土小学校校舎のレベル高さ、貴重さを証明しているといえよう。

 この校舎は、どんな特徴があるのか。専門家の見解をまとめると、
①教室と廊下の間に空間を取り、そこを中庭として教室の独立性を高め、落ち着いた学習環境を実現した。これは、クラスター型教室配置と言われ、当時はまだ研究段階で実例がほとんどないときに、四国の小都市で実現していた。その先駆性は高く評価されるところだ。
②自然を取り入れたデザイン。川に向かって張り出したテラスや外部階段が開放感を醸し出す。
③木造ながら、スチールを組み合わせ、ハイブリッドな構造形式を採用している。川側の壁をカーテンウォールにして、窓面を軽やかに表現する一方で、要所に筋違いなどでスチール補強をしている。合理的でモダンな構造といわれる。
④昭和35年(1960)に、「文藝春秋」による“日本を代表する建築家10人”のなかに選ばれた松村の代表作であるーなどだ。

 専門的な評価は別として、自身の小学校時代の思い出とダブらせて見たらいいように思う。明るく、ゆったり、のびのび自由、さわやかな空気が吹き抜けていくーここはそんな学校のように思えた。
          DSCF0115.jpg
      (外光を思い切り取り入れ、明るい廊下。壁面にはいつでも腰かけて本が読めるようになっている)DSCF0123.jpg
              (教室内も明るく開放的)
 松村正恒とはどんな人物か。大正2年(1913)大洲市新谷町の生まれ、武蔵高等工科学校(現・東京都市大学)を卒業、土浦亀城建築設計事務所に就職し、のちに農地開発営団に転じ、終戦とともに大洲に帰郷。昭和22年(1947)から八幡浜市の土木建築係職員となり、昭和35年(1960)に退職するまで約13年間にわたって八幡浜市の学校や病院関連施設などの設計をしてきた。その後は、松山市で設計事務所を開設。平成5年(1993)死去するまで、約400の建築物の設計をしたと言われる。

 日本を代表する建築家の、その代表的な建築が、なんと公務員時代の産物なのだ。失礼ながら、なにごとも平均的で、没個性が求められると言われる公務員の仕事のなかで、松村がその個性をいかんなく発揮できたのは、彼を支えた当時の市長らのすぐれた見識、バックアップがあったと言えるだろう。余談ながら、八幡浜市職員を退職後に彼の設計した建築物で注目される作品はほとんどないと言われる。「税金でつくる公共建築では可能な限りの実験をしたが、独立後の民間の仕事では冒険しにくい」という主旨のことを評論家・宮内嘉久のインタビューで彼自身が答えている。
     (このほど作成された日土小学校のオリジナルフレーム切手)DSCF0309.jpg

DSCF0308.jpg (日土郵便局の風景印も日土小学校のデザインに変更された)
 

 また、最近、日土小関連で話題となっているのが、オリジナルのフレーム切手「国重要文化財指定日土小学校」が7月に地域限定で販売開始されたこと。1,000シート(1シート80円×10、売価1200円)が完売、このため八幡浜市が購入分の一部を見学会場で販売している。(この切手シートは好評につき、8月18日から追加販売することになった)。また、学校から50メートル離れた日土郵便局では、先月から風景印を「日土小学校」のデザインに変更した。学校訪問の記念に同郵便局を訪れ、残暑見舞いはがきに押印してもらって知人に発送するのも楽しそう。(50円以上の切手、またははがきに押印、そのまま発送してもらうこともできる。)

【夏休み見学会】
8月11日(日)、8月18日(日)いずれも午前9時から午後4時まで。時間内に自由に見学できる(ただ職員室、校長室などの一部施設は立ち入り禁止)。無料。なお、両日は和田耕一氏(和田建築設計工房主宰)によるガイドツアーもある。受付午後1時45分、中校舎交流ラウンジ(定員20人)、午後2時開始。
駐車場は同小学校グラウンド。(また、冬休み見学会が12月29日、春休み見学会が来年3月30日開催予定)

日土小学校所在地:八幡浜市日土町2-851
問い合わせ:八幡浜市生涯学習課、文化振興係 0894-22-3111(内線8357)

(文中敬称略)
参考文献:「木造モダニズムのユートピア:八幡浜市立日土小学校」花田佳明、「日土小学校校舎の建築的・文化的価値」陣内秀信、「日土小学校校舎の保存・再生要望書」日本建築学会、「残すべき建築」松隈洋・誠文堂新光社

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コメント

こんばんは。見学会、都合が付きませんでした。残念です。
冬か春の見学会には、是非とも訪れたいと思います。
[2013/08/18 23:22] URL | nori #iAqHXQpI [ 編集 ]


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