レトロ旅えひめ巡り
愛媛県のノスタルジーを求めての旅ガイド。近代化遺産の建造物や農漁村の原風景、いつかどこかで見た光景を紹介していきます。古いえひめを一緒に探してみませんか。
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明治の洋風警察署がすごい。
もし、こんな洋風建物が隣にできたら、今でもびっくりすることだろう。
ましてや、130年前の明治時代ならなおさらのことだ。
これが旧宇和島警察署の建物。
スカイツリーとまではいかないが、完成時には警察署が観光地となり、弁当持参の見学者が殺到したという。
登録文化財制度ができた時、愛媛県下でまっさきに登録された。
  DSCF0180-001.jpg
         (建築時は県下はもとより、四国内でも超先進的な建物と言われた)

 明治17年(1884)9月、宇和島市広小路に建設された。設計者の名前は残っていない。当時の大工棟梁が、西洋建築を見よう見まねで造った。こんな洋風の建物を建築学の分類では、“擬洋風建築”と分類している。萬翠荘や県庁の設計で知られる木子七郎のように西洋建築を学んだ設計家が造れば、洋風建築で、在野の人が一生懸命考えて造ったら擬洋風となってしまう。

 少々、見下されているようだが、文明開化の風を受けて懸命にこんな建物を造った人物に、ぜひとも功労賞を差し上げたい。ちなみに、擬洋風を含めて洋風建築として、愛媛に残っているもので、最も古いのは明治15年(1882)の開明学校(西予市宇和町)。次いで、その2年後にできたのが、この旧宇和島警察署だ。そのほかでは、明治末から大正初期の建築といわれる白石和太郎洋館(八幡浜市保内)が古い。誰もが知っている萬翠荘や愛媛大学付属中学講堂(松山市)は大正11年の作品だから、宇和島の地に建つこの洋風の建物の歴史的価値がわかっていただけると思う。
             DSCF0175.jpg
                (どうです、堂々たる威容を誇る正面玄関) 
 正面玄関は、警察としての威厳をもたせている。8角形の柱でアーチ付きのポーチを構成し、2階はバルコニーでその上部は洋風を強調するぺディメント(三角形の切妻屋根形式)を置く。軒周りには蛇腹細工の装飾が続き、窓は上げ下げ式。いたるところに洋風のムードがいっぱい。
  DSCF0194.jpg
    (2階の天井の一部は、トラス構造や蕪束が見れるよう開放されている) 
                
DSCF0192-001.jpg
              (上げ下げ式の窓が広く取られている)
 格調高い外観が見事なだけでなく、実は建築技法でもすごい技術が使われている。
 軒から上の屋根部分の構造部(小屋組=こやぐみ)は、当時の擬洋風建築では、日本古来の丸太の原木を使い、外観のみ洋風にしているのが多いのだが、この建物は角材でトラス(合掌)を組んで強度をもたせ、寄せ棟の平合掌、隅合掌、妻合掌の取り合いも蕪束(かぶらつか)で納めている。当時としては画期的な技法で、この時期にどうして宇和島で採用されたのか、謎が残る。現存する擬洋風建築で蕪束を採用しているのは、札幌の時計台(明治11年、国の重要文化財)など全国に約30しかないと言われる。

 宇和島は戦災で市内の70%が被災したと言われ、この建物にも焼夷弾が落ちたというが、それが不発で難を免れたという。昭和27年(1952)に警察署建て替えが決まったとき、当時の西海町(現・愛南町)が町制発足の記念事業としてこの建物を買い取り、西海町に移築して役場として使うことになった。翌年2月に移築が完了、それから平成2年(1990)1月まで、37年間にわたって役場として務めた。さらに、この建物は、保存運動の声に押される形で、また宇和島に里帰り。平成4年(1992)3月、今度は宇和島港に近い同市住吉町に移築復元された。「宇和島市立歴史資料館」として3度目の務めを果たすことになり、今日を迎えている。

 個人的には、西海町役場時代のこの建物に幾度か足を運んだ思い出がある。当時は、古い建物をよくも使っているなと、思いながらギシギシいう階段を行き来したものだ。あのころ会った岡田町長や池田観光課長(のち町長)の顔が浮かぶ。今もお元気だろうか。観光で町の振興を図っていた西海町。もし、この建物を西海に移築して残しておけば、ひとつの観光資源になっていただろうに、残念な気がする。

 今の資料館は、入館料無料。第一展示室は「華宵の部屋」と題して、宇和島出身で大正から昭和にかけて一世を風靡した挿絵画家・高畠華宵(1888-1966)の作品を展示している。年4回展示替えしている。まとまった華宵の作品を無料で鑑賞できる。お得!。ほかに、消防関係の展示や貝の標本展示などもある。展示を見るのもいいけど、2階バルコニーから、眼下に見える樺崎砲台跡(宇和島市指定史跡)を見るのもロマンを掻き立てられる。

 【開館時間】午前9時から午後5時。【休館日】月曜日(祝日、振替休日の場合はその翌日)【駐車場】あり無料
【問い合わせ】宇和島市住吉町2丁目4-36、歴史資料館。電話0895-23-2400
(ナビがないと、迷うような道。大ざっぱにいえば、宇和島徳州会病院を目指し、そこらで聞くのが分かりやすいかも)
参考文献:「新宇和島の自然と文化(1)」(宇和島市教委)、「愛媛温故紀行」(えひめ地域政策研究センター、アトラス出版)、
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