レトロ旅えひめ巡り
愛媛県のノスタルジーを求めての旅ガイド。近代化遺産の建造物や農漁村の原風景、いつかどこかで見た光景を紹介していきます。古いえひめを一緒に探してみませんか。
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“奇跡”の段々畑!水荷浦(宇和島)
南予では、段々畑なんてどこにでもある風景。
だから、宇和島市遊子の水荷浦(みずがうら)の段々畑もちょっと広いだけだろうと思っていた。
ところが、現場に行ってみると大違い。
これはすごい!。壮大なスケール。今まで見たことがない。
「耕して天に至る」というのは、本当だ。日本人が汗で築きあげ、今に残る“奇跡”の遺産といえよう。

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高さや幅は1メートル余、急な斜面を上へ上へと積み上げていった段畑。頂上まで50~60段もある。
平均勾配は40度というが、場所によっては、すごい急傾斜で下を見たら足がすくむほど。もし畑で立ちくらみでもしたら、大変なことになりそう。実際に耕作中に畑から転がり落ち、けがをした人もいるそうだ。
この段畑、まさに命がけの造成だっただろうし、それに実際の農作業も平地とはケタ違いの重労働だろう。

造成は、江戸時代後期に始まったという。
当時のここは、イワシ漁中心の漁村だった。食糧自給のため、サツマイモ栽培目的で段々畑の造成が進み、その後は、養蚕が盛んになれば桑を植え、また柑橘がいいとなれば、ミカンを植えたりしたのだが、結局はサツマイモ栽培を中心に段々畑が広がった。そして、サツマイモの暴落などを経て、早掘りジャガイモが栽培品目の中心になっていった。今日まで、段畑が残った要因のひとつは、ここが無霜地帯でジャガイモの栽培に適していたことがあげられる。

戦後の食糧増産の掛け声に乗って、水荷浦の山林は伐採が続き、頂上まで段畑に変わっていった。
城壁のような石垣は、「親父が石を砕き、子供も運ぶ、そして爺が築く」と言われた住民の汗の結晶だ。石垣の積み上げられた石のひとつひとつに当時の人たちの、気の遠くなるような労苦がしみついている。
   
        DSCF0881.jpg
ところが、この自然を破壊するという罪は、恐ろしい罰が牙をむいて襲ってきた。
ネズミの襲来である。

天敵のトビもいなくなり、ネズミの大好物のイリコやサツマイモ類が豊富で、また石垣が格好の住み家になったことで、それこそネズミ算式にネズミが異常繁殖。昭和35年ごろのピーク時には、この地区を含む宇和海村の人口6,000人に対し、ネズミはその100倍の60万匹に達したという。ネコさえも大きなネズミに怯え、乳児は鼻や口を噛まれるほどの異常事態になった。

このネズミ騒動、どうしたら終息させることができるかー。
当時の道後動物園は「耕作をやめ、段畑を自然に帰しなさい。それ以外にネズミを駆除する方法はない」と、回答を出した。
しかし、この意見に耳を傾ける人は少なかった。毒餌は弊害があり、天敵作戦も大きな成果が上がらなかった。役場は駆除の促進のため、1匹2―5円の買い上げ代金を出し、人々は、ネズミのシッポを役場に持って行き、買い上げてもらう日々だった。
駆除作戦は、決定打のないまま月日が過ぎた。ところが、思いもよらぬ経済状況の大きな変化が駆除を後押しすることになるのだ。不漁、倒産という形でイワシ漁が終わり、出稼ぎに行く人が増えた。その後は真珠、ハマチの養殖時代に入り、海の仕事が多忙になった。それによって老人が段畑の放棄を始めたのだ。ネズミは生活環境の変化で餌が減ることと歩調を合わせるように減り始めた。そして10数年にわたるネズミとの戦いは、終わりを迎えるのだった。

この壮大な遺産の陰には、「自然破壊はいつか罰を受ける」とのこんな苦難の歴史も隠されている。
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住民の生活と連動して、一時は30ヘクタールをゆうに超えていたという遊子地区の段々畑だが、平成7年には1・6ヘクタールにまで減少した。しかし、景観美が再認識されて、平成12年に地元で「段畑を守ろう会」が結成された。徐々に耕作も復活し、今では4ヘクタールにまで回復している。

モノレールがついたりして、少しは労働が軽減されたが、除草は今なお手作業で、続けられており、石垣に雑草は見当たらない。

平成19年には全国で3例目の「国の重要文化的景観」に選定された。選定基準1の「水田・畑地など農耕に関する景観地」である。文化庁の水荷浦の段畑についての解説には「農耕を継続的に営むことにより、緩やかな発展を遂げた特色ある文化的景観」としている。国の“重要文化的景観”は、現在35件が選定されているが、複合的な理由での選定地域が多く、段畑のみが特色というのは、この水荷浦だけ。シンプルかつインパクトの強い景観地といえる。

今、観光で脚光を浴びているのは、日本のマチュピチュといわれる竹田城跡(兵庫)。それに愛媛では、旧別子銅山東平ゾーン(新居浜)。一度は見てみたいーという神秘的であったり、信じがたいところに構築された特異な景観が、人気急上昇中だ。ここ水荷浦の段々畑は、それと同類に近い観光資源であろう。
先人が血と汗でつくりあげた奇跡の段々畑である。何かの仕掛けで、大化けする可能性を秘めている。

訪れた人は「よくぞこんなに積み上げたものだ」と、人の力のすごさを思わざるを得ないだろう。顔を上げれば美しい宇和海が一面に広がっている。ほほをなでる心地よい潮風も魅力の一つだ。
(なお、段畑は、数か所に分散して残っている。駐車場やだんだん茶屋のある地点の景観地が最も広いメーンの段畑といえる)
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段畑への作物植栽の例年のスケジュールは、11月にジャガイモの植え付け、4月収穫、6月にサツマイモ植え付け、10月収穫。4月には「だんだん祭り」のイベント開催予定。

所在地:宇和島市遊子水荷浦(ゆすみずがうら)
段畑を守ろう会事務局(0895-62-0091)
JR宇和島駅から車で40分。無料駐車場有。段畑では、見学用の通路を歩くこと。畑の中には入らないなど、段畑の維持保守管理にご協力を。
松山方面から:国道56号ー宇和島北IC-宇和島南IC左折-国道56号寄松交差点右折(三浦半島方面)-県道37号ー県道346号
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コメント
はじめまして!ブログを拝見させていただきました。
はじめまして!ケーブルインターネットZAQが運営している地域情報サイト「まちこみZAQ」運営事務局です。

壮大な急斜面の段々畑、日本にこのような景色があるなんて驚きました!
まくり王さんのブログは愛媛の歴史やまちの情報が満載で、楽しく拝見させていただきました!
写真もとても美しく、愛媛県の魅力が伝わってきました。

突然で申し訳ありませんが、まくり王さんのブログを拝見して、
弊社が2013年8月にリリースした「まちこみZAQ」のレポーターとして一緒に盛り上げていただきたいと思い、ご連絡させていただきました。
ただ、今書いていらっしゃるブログから変更し、新たに始めて頂くのは、非常に難しいと思っております。
もしよろしければ、まちこみZAQに一記事からでも愛媛県の情報をレポート投稿していただけないでしょうか。
もちろん既にブログに書かれておられる内容と同じでも構いません。

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コメント欄にこのようなことを記載して大変申し訳ございません。
ご不快なようでしたら、削除してくださいませ。
[2013/11/11 17:24] URL | まちこみZAQ運営事務局 #p5lgO15o [ 編集 ]


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