レトロ旅えひめ巡り
愛媛県のノスタルジーを求めての旅ガイド。近代化遺産の建造物や農漁村の原風景、いつかどこかで見た光景を紹介していきます。古いえひめを一緒に探してみませんか。
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ターナー島の今
松山市の高浜沖に盆栽のような風情を醸す小さな島がある。
正式には四十島(しじゅうしま)というが、それよりも“ターナー島”という別名の方で有名になっている。
漱石が「坊っちゃん」のなかで命名したのが、すっかり広まって定着した。
小説の一節にあるだけで、島の名前にまで影響を及ぼすのは、さすが漱石パワー、いや坊っちゃんパワーか。
DSCF1187.jpg
大小3つの岩礁から成る、高いところでは18メートル。花崗閃緑岩(かこうせんりょくがん)で出来ているが、風化が進んでいるのがみてとれる。

「坊っちゃん」の中では、この島が青嶋として登場する。坊っちゃんと教頭の赤シャツ、美術の野だいこの3人がここへ釣に行く。そこで、赤シャツが野だいこに言う。「あの松を見たまえ、幹が真直ぐで、上が傘のように開いてターナーの画にありそうだね」。これを受けて、野だいこが「まったくターナーですね。どうもあの曲がり具合ったらありませんね。ターナーそっくりですよ」と追随して、これからあの島をターナー島と名づけようじゃありませんか。赤シャツも賛同して、そいつは面白い、吾々はこれからそう言おう--。

これがきっかけで、イギリスの画家ターナーが瀬戸内の島の名前となって登場することになったわけだ。

   DSCF1198.jpg
漱石が松山中学に赴任したのが明治28年(1895)。当時は松が青々と茂り、樹齢150年を超すものもあり、枝が垂れ下がって実に見事な景観だったという。

ところが、昭和50年代になって、マツクイムシによって、次々と松が枯れ、37年前の昭和52年(1977)に全ての松が姿を消し、ターナー島はただの岩礁になってしまった。
行政も松の植樹に努めたが、土らしい土はなく切り立った岩山だから水持ちが悪く、植樹にことごとく失敗。ここで愛媛大学の農学博士からは「元の姿に戻すのは絶望的」との見解が発表され、ターナー島の昔の姿は消え去ろうとしていた。

この時、“工夫次第では育つかもしれない”と考えた人がいた。高浜小学校の教諭だった北岡杉雄さんだ。

昭和53年から、孤立無援の中で自ら漁船をチャーターし、独力で松の植樹に取り組み始めた。最初植樹した20本のうち、3本だけ鹿沼土を使ったところ、この3本だけが日照りにも耐えて翌年まで生きていた。このような技術的な試行錯誤や夏場の水やり作業を続ける一方、台風の大波が島を襲う、日照りなど、幾多の困難を乗り越えて今の姿に蘇らせることに成功したのである。

残念なことに、専門家からは、励まされるのではなく素人だといって激しく罵倒されることもあった。費用も時間もこの事業に注ぎ込んだ北岡さんの一途な情熱によって、今のターナー島の姿があることをはっきり刻みこんでおく必要があると思う。ターナー島紹介の記述の多くに、“篤志家”が植樹に取り組んだとある。篤志家という表現でなく、なぜ北岡さんのことを明記しないのか。もっと、北岡さんを顕彰する必要があるのではないだろうか。もし、北岡さんがいなければ、ターナー島が平成19年、国の登録文化財(名勝)になることはなかっただろう。松があってこそのターナー島だ。

ようやく松は根付いたようだが、油断は大敵。島の風化、浸食はどんどん進んでいる。今後、コンクリートによって島を守る対策が必要になって来るかもしれない。
DSCF1205.jpg
高浜1丁目の富士電線株式会社の南西側に展望ポイントがある。ここには、子規の「初汐や松に浪こす四十島」の句碑もある。遊歩道も“守る会”の手で整備され、1年前までは小高い丘の上まで登れたのだが、今、この丘の上にソーラー発電パネルが設置され、丘上は立ち入り禁止状態になっている。

参考文献:「ターナーの松 再生」(盛重ふみこ、日興書籍)
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